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レバレッジ規制10倍の合理性について

1.不足金の発生リスクについて

レバレッジ25倍になってから顧客不足金は極端に減っており、業者の財務基盤に影響がでるような不足金は発生していない

2.為替変動率について

10倍の根拠となっているものが過去の為替変動率であるが、為替変動率は通貨により異なり平均をとって一律10倍とするのは合理性に欠ける。また、流動性は通貨により大きく異なり、流動性が高く価格変動率が低い通貨と、流動性が低く価格変動率が高いものを同じに扱うのは不合理である。
これは、例えば10と90の平均は50であるが、10のリスクの銘柄と90のリスクの銘柄がある商品のリスクが50であるということになるが、単純にそのような平均で50とすることは誤りである。顧客によっては10の銘柄を選好する顧客、90の銘柄を選好する顧客、両方をバランスする顧客など様々であり、各通貨ペアの平均変動率を証拠金率の基準とすることは明らかに間違っているといえる(10のリスクの銘柄を選好する顧客に対して50のリスク値を設定するのは過剰なリスク対応であり、90のリスクの銘柄を選好する顧客に対して50のリスク値を設定するのはリスク対応が不十分である)。

3.為替変動率の算出根拠

10倍の根拠となっている過去の変動率であるが、1985年のプラザ合意後固定相場制から変動相場制になった以後の1日の最大変動率を基準にしているが、インターバンク参加者である銀行のディーラーが様々な規制により昔と比べ取引の内容や方法が変わってきていること、情報通信技術の発達により一般の投資家も即時に市況状況を知ることができるようになったこと、プロしか参加していなかった市場に一般の投資家も数多く参加し、流動性の重要な担い手の一部になっていることなど様々な要因により市場環境は大きく変わってきているにもかかわらず30年以上も前の数値を基準に含ませることに必然性はない。
また、1日の最大変動幅をもって証拠金の根拠としているが、ロスカット制度が法令で定められており、FX業者はロスカット体制を整え不足金が発生しない水準で適切にロスカット取引を実行しなければならないことになっており、短いもので秒単位、長くても数分程度の間隔でロスカット判定とロスカット取引が実行されている。このことから考えても。1日の変動幅をもって顧客に不足金が発生しない変動幅というのはロスカット制度をないがしろにしたものであり、基準とする期間としては非常に長すぎるといえる。外国為替市場は株式市場に比べても非常に流動性が高い市場であり、丸一日流動性がなかったことはない市場である。そのため1日の値動きを基準としたレバレッジの設定は過剰であり、規制同士が矛盾している。

4.海外業者との差

海外ではレバレッジ規制がない、または規制があった場合でも日本と比べて高いレバッジが許容されている(比較的レバレッジが低い香港で20倍、米国で50倍。外国為替の3大市場の一つである英国では規制がない。その他の国でも規制がないまたは50倍以上の国が多い)。そのため、相対的に日本のレバレッジが低くなると、資金効率の悪さから国内のFX業者での取引を止めて海外のFX業者で取引を開始する顧客が増えると考えられる(実際に25倍規制が施行された以降、海外業者で取引している顧客は増加している)。海外業者には確りとした財務基盤を持ったうえで自国の法令を順守している優良な業者もあるが、中には出金に応じなかったりする業者もあることから、顧客が不測の損害を被るリスクが今よりも非常に高くなる。
なお、25倍のレバレッジ規制が実施されてから、顧客からのレバレッジに関するクレーム等は全くなく、現状の25倍のレバレッジにおいて、レバレッジが高すぎるといった問題は発生していない。

5.他の金融商品との差

株価連動の仕組債や,商品現物取引では,10倍を大きく超える実質レバレッジがかかっている商品は数多くある。これらの商品に比べ為替は変動率も低く、流動性も高いにもかかわらずレバレッジを下げることは合理性に欠ける。各金融商品の変動率や流動性などを考慮したうえで適切なレバレッジを設定すべきであり、FXだけハイリスク商品としてレバレッジを規制することは、各金融商品間の均衡性を欠くといえる。

6.顧客への影響

現在4%から10%に証拠金率が引き上げられると証拠金額は2.5倍に引き上げられる。
例えば、現在100万円入金して必要証拠金50万円を使ってポジションを保有している顧客は、規制が実施されると必要証拠金は50万円から125万円に引き上げられる。更にいえば、25万円入金すればポジションが維持できるかといえばそうではなく、時価評価した残高が125万円を下回った場合はロスカットとなってしまうことから25万円余裕証拠金を入金しておく必要がある。規制前は証拠金維持率でいえば100万円入金しての50万円使用していることから200%となる。規制後も同じ維持率を維持するためには250万円の証拠金を預ける必要があるため追加で150万円入金する必要がある。余剰額を同じにする場合は、規制前は50万円余剰があったため、規制後も同額を余剰として余裕を持たせた取引を行う場合は、175万円の証拠金を預ける必要があり、追加の入金は75万円必要になる。
いずれのケースであっても顧客は現在取引しているポジションを維持するために現在預け入れている証拠金と同額に近い額を追加で入金するか、ポジションを決済するかの選択を迫られることになる。
規制実施日において入金もポジションの決済も行わなかった顧客はロスカットにより強制決済となる。顧客の多くは外貨買い日本円売りのポジションを保有しており、こうした円売りポジションの強制決済が大量に発生することで市場に大量の円買い注文が殺到し、急激な円高になる可能性が高い。特に豪ドル、ニュージーランドドル、南アフリカランド、トルコリラといった高金利通貨の買いポジションが多く保有されており(なお、米ドル円も最もメジャーな通貨であることからポジションが多い)、これらの通貨が売られることにより急激な円高外貨安になることが想定される。そのため、ロスカット取引が想定以上の安値で約定したり、追加で入金した顧客やポジションを決済して減らして事前に対応していた顧客までもが急激な円高により想定以上の損失が発生し、結果として事前に対応したにもかかわらずロスカットとなり損失が発生してしまう可能性もあり、規制の実施による大きな損害となる可能性がある。

7.為替市場への影響

FX取引業者のポジションカバー取引は東京外国為替市場の出来高の大きなシェアを占めるなどしており、いまやインターバンク市場が顧客取引の動向を無視できないほどの影響力を持っている。
万が一レバレッジが25倍から10倍に規制されることとなった場合には顧客がその分証拠金を積み増ししなければ今と同額のポジションを維持できなくなるため、トータルで見ればポジションが減少し、これに応じてインターバンクカバーが減少することが考えられる。アジアの拠点であるシンガポールや香港の市場は以前から米系ファンドのカバー玉が入ることで厚みがあるマーケットだが、東京市場の規模が今以上に縮小してしまえば完全に東京市場は後塵を拝することとなってしまう。これは東京の市場流動性の深刻な低下につながり余計顧客取引にとってマイナス面が大きくなると考えられる。
すなわち市場で出あうレートの変動が大きくなり、連れてスプレッドの拡大につながり、FX 取引のみならず実需企業の輸出入取引カバーにも悪影響を及ぼす可能性が高いと考える。これがひいては日本経済に対し悪影響を与えることにつながりかねないと思われる。 市場流動性の低下が、相場の急変動時には更に顧客リスクを増大することとなる。 輸出入ヘッジを行う本邦実需企業が、相場の急変動でカバーが遅れてしまい潜在的な損失を抱えてしまうことにつながる可能性が高いと考える。これらの影響を考えた場合、顧客保護の観点からレバレッジを10倍に下げることが顧客保護につながらず却ってリスクを拡大させることにつながるという皮肉な結果となってしまうことに留意すべきと思われる。
また、6.で記載した通り、規制実施日において入金もポジションの決済も行わなかった顧客はロスカットにより強制決済となる。顧客の多くは外貨買い日本円売りのポジションを保有しており、こうした円売りポジションの強制決済が大量に発生することで市場に大量の円買い注文が殺到し、急激な円高になる可能性が高い。特に豪ドル、ニュージーランドドル、南アフリカランド、トルコリラといった通貨の買いが多く保有されており(なお、米ドル円も最もメジャーな通貨であることからポジションが多い)、これらの通貨が売られることにより急激な円高外貨安になることが想定される。そのため、ロスカットが想定以上の安値で約定したり、追加で入金した顧客やポジションを決済して減らしていた顧客までも急激な円高となる恐れがある。

8.レバレッジ規制以外での対応

レバレッジ規制で保護が可能なリスクは
「(1)相場変動による未収金発生リスク」についてのみである。これについては、取引所取引においても同じリスクとなる。FX業者はロスカット取引を適切に実施することが求められており、レバレッジの倍率のみで(1)について考えるのではなく適切なロスカット取引を行うこととセット考える必要がある。なお、レバレッジ25倍規制実施後の不足金の発生については1.に記載の通りである。
「(2)カバー取引先破たんリスク」については、レバレッジ規制では防ぐことはできない。むしろレバレッジが低くなることにより、顧客はレバレッジが高いときよりも預け入れる必要のある証拠金額が増えるため顧客からみた業者の信用リスクは高くなるため、レバレッジ規制により顧客リスクが増大することになる。なお、店頭業者においては顧客預かり金を全額区分管理信託することで顧客資産の保全をしている。
「(3)未カバーポジションに対するリスク」についても(2)と同様でレバレッジ規では防ぐことはできない。レバレッジが低くなることで取引が減り、取引が減ったことで収益が減り、コストカット・収益率の向上を図る必要が出てくることが考えられる。その方法の一つとしてカバー取引が減る可能性があり、結果として未カバーポジションに対するリスクが増大してしまう可能性があるため、レバレッジ規制で(3)リスクに対する対応にはならないうえに(2)と同様に業者の信用リスクは高くなることが想定される。
以上であるが、レバレッジ規制では顧客保護としては不十分であり、むしろ顧客リスクが拡大することも考えられる。

9.店頭取引と取引所取引の差

8.(1)から(3)のリスクについて店頭取引と取引所取引について比較する。
(1)については、双方差がない。
(2)については、店頭取引は店頭業者の自己資本のみで取引所は清算機能を有するためリスクがないとなっているが、実際のところは、清算方法は破たん業者(取引会社およびカバー先双方が清算預託金を積んでいるため、ここではカバー先も業者と記載する)が発生した場合は、まずは清算預託金で破たん業者の損失を穴埋めする。それでも足りない場合は取引所が損失を補てんする、それでも足りない場合は破たんしていない業者で損失を補てんするということになっており、ストレステストで想定されているような大きなリスク事案が発生し、業者(特にカバー先)が破たんした場合は清算預託金に加えて取引所の拠出金でも賄いきれない可能性が高い。そのためさらなる参加業者の負担の増大や場合によっては取引所の資産でもカバーしきれないことも想定されることから取引所がカバー先の信用リスクがないというのは適切でないといえる。なお、店頭業者は信託保全により業者の信用リスクと顧客資産を切り離して管理する仕組みが構築されているが、取引所は清算機関であるということからこの仕組みがなく、万が一取引所が破たんする事態が発生した場合は税金で補てんされるか資産が保全されないことになる。
(3)については、取引所取引は全てカバー先銀行にカバーされるが店頭取引では業者の一存によりカバー取引が執行されるため、業者は未カバーポジションのリスクを保有している。ただし、未カバーポジションのリスクはレバレッジ規制とは無関係である。 なお、顧客の資産保全については上記の通り店頭業者は信託保全さているが取引所においては業者の破たんでは影響を受けないが取引所の信用リスクについては特段対応がないためリスクがある(資産保全がされていないので顧客が損失を被るか、税金で賄うほかない(それが許されるかはわからないが))。

レバレッジ規制についての意見まとめ
顧客保護を実現しつつ(規制が実施されることにより本来蒙る必要がない不利益を回避する)、東京市場におけるFX取引のシェアは非常に大きなもので、急激な取引減少は為替市場にとっても、日本経済にとっても大きな影響を与えないためにもレバレッジの算出方法については合理的な方法を検討すべきである。具体的には、通貨毎の変動率を合理的な期間で算出する現在の法人証拠金のルールに近いもので、ロスカットルールと併せて運用することで未収金発生リスクをカバーできるルールが市場環境の変化にも柔軟に対応できる適切なルールであると考える。 なお、(2)(3)についても、対応を検討する必要があるリスクであるが、金融庁提案のレバレッジ規制においてもそもそも上記2つのリスクに対応できるものではないため、レバレッジを見直すというトン点で同一に議論することは誤りであると考えられる。そのため、別途それぞれのリスクに対応するための方法を検討する必要があると考える。

参考までに、法人証拠金の基準となっている130週間の変動率を信頼度100%(2017年10月27日を基準日とする)で計算したレバレッジは以下の通りである。

 

米ドル円

ユーロ円

ポンド円

豪ドル円

スイスフラン円

最大変動率

3.5%

5.0%

9.8%

4.3%

3.9%

レバレッジ

28.7倍

19.8倍

10.2倍

23.3倍

25.7倍

 

カナダドル円

NZドル円

南アランド円

ユーロ米ドル

ポンド米ドル

最大変動率

3.9%

4.2%

8.3%

3.3%

7.8%

レバレッジ

25.5倍

23.7倍

12.0倍

30.2倍

12.8倍

※平均は、2.で記載している通り算出は無意味なので記載しない。

専門家の声

金融庁は今回の規制をすべきではない。

理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

現在、世界的に見ても厳しい規制が本当に必要なのでしょうか?

公的・民間に差をつけるのはアンフェアで投資家保護になりません。

わざわざ世界一の業界を自らの手で潰すことは得策ではない。

個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる。

同種の金融商品における明らかな差別である。

投資家を無視して進んでいることには、憤りを感じる。

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