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2017年10月30日:新たなレバレッジ規制について

新たなレバレッジ規制について

「貯蓄から投資へ」が叫ばれて以来、個人金融資産は貯蓄一辺倒からの解消が徐々に進んでいる様に見受けられます。 低金利時代が10年以上も及び、低金利時代からの脱却が全く予見できない現在、金融商品取引の裾野を広げていくことは非常に重要なことと思います。こうした中、FX取引は個人投資家にも幅広く認知された金融商品の1つであると思われます。 元来、為替市場は国内外の貿易決済に基づいた厚い実需玉が需給を支えたマーケットでもあり、株式の空売りとは異なるものであります。特に先進国の通貨については市場流動性にも優れ、相場の急落・急騰にも対応可能であり、逆にいえばこの変動時こそレバレッジ倍率の高さを活かして収益拡大に繋げられる可能性も生まれます。

昨今NISA口座数が順調に拡大しているとのことですが、実際の口座稼働率は2016年末で60%を越えたばかりとの由。かつNISAで運用している世代は50歳以上が多数を占めているとの調査があります。 片や、FX取引は比較的少額資金で参加できるので、若年層からミセスワタナベまで幅広い世代で参加しています。従い、FX取引のレバレッジ規制をかけることで参加者縮小となった場合はNISAと比べ、多くの若年層を巻き込んで退場する可能性が高まることが予想されます。 「貯蓄から投資」をスローガンに掲げ・若い世代から「金融リテラシー」向上を目指している現状、それを担う若年層の退場は時代に逆行するのではないでしょうか。幅広い投資家が参加できる取引こそが、その商品の魅力を高め、流動性の担い手になっていると思います。

また、万一レバレッジ再規制が実施された場合には、海外のFX業者との競争は一段と不利が予想され、資金逃避が行われる可能性が高まります。この場合には、送金の問題、資金回収の問題、言語の問題、問題が起きた際の裁判管轄問題など、今までとは違った問題に直面し、個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

投資家保護を謳っての規制と思われますが、本来投資とはリスクを負うものであり、自己責任で行うものであると、既に多くの方が認識されていると思います。レバレッジ比率を一層低くすれば、トレード金額に制限がかかり、収益機会が減る可能性が高まり、また、ある程度の含み損に備えるためにも証拠金を多く積む必要があり、その結果FX取引参加者が次第に細っていく可能性が高くなると思われます。 一方でクリック株365は100倍のレバレッジまで許容され、FX取引の4倍リスクがあるにも関わらず、枚数の大きさに比して自己コントロールが成されているとは思えません。リスクの高さでは比較できないほどの大きさになっています。

過去にレバレッジ規制が実施され、現行の25倍に決定される前、一部調査で約17%強の投資家がFX取引を止めるとの回答があった様です。それでも資産運用の1手段としての有効性や重要性の観点から、結果25倍でも受け入れて対応する個人投資家が増えました。 しかしながら、仮に10倍程度まで規制強化が図られると、レバレッジが6割減ですから、この影響は無視できなくなります。例えば債券や株のヘッジ取引にFXを使った場合、これだけで自己資金枠の足枷となります。更にアウトライト取引をするには資金を増やさざるを得なくなります。自動車ではないですが、遊び(余力)のないハンドルは危険極まりなく、運転しても余裕を失います。FX取引のレバレッジ規制はこの余裕を減らすことにほかならないと思います。

金融経済教育研究会が纏められた公正で持続可能な社会の実現のためには、規制よりも金融リテラシー向上を図る機会を増やし、国民に周知徹底させることが欧米に対抗できる国富育成になるのではないでしょうか。 以上から現在のレバレッジ25倍は妥当であり、自己のリスク管理により、十分にコントロールが可能であると思慮します。

筆者プロフィール

橋本 光正氏
大手商社の本社・NY支店で金融、特に為替相場を中心に携わる。経験は30数年以上に及ぶ。資産運用アドバイス会社を経て現在に至る。経験を活かしたテクニカル・ファンダメンタル分析を得意とする。ストボに出演中。またブログ『FXのプロが語る!勝つためのFXブログ』を掲載中。
専門家の声

金融庁は今回の規制をすべきではない。

理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

現在、世界的に見ても厳しい規制が本当に必要なのでしょうか?

公的・民間に差をつけるのはアンフェアで投資家保護になりません。

わざわざ世界一の業界を自らの手で潰すことは得策ではない。

個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる。

同種の金融商品における明らかな差別である。

投資家を無視して進んでいることには、憤りを感じる。

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