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2017年11月10日:レバレッジ規制に対する反対意見

■レバレッジ規制に対する反対意見

 私は1985年から28年間、主に米銀のディーリングルームでひたすらFXのトレードをし、AIとアルゴリズムによるトレードの普及によってその職を追われ、3年前から個人証拠金取引に参入したフリーのFXトレーダーである。

 私はFXで特に大儲けしようとは考えていないが、例えば月に100万円着実に稼ぐために、ドル円、ユーロドル、ユーロ円といった流動性もボラティリティも十分にある通貨ペアにおいては、30万通貨から100万通貨までのポジションサイズを、状況によって自由自在に変化させて、効率的なスイングトレードをする必要があると考えている。

 

 証拠金によってレバレッジを利かせることができるFXは様々な戦略が可能となる。レバレッジを小さくすれば、外貨預金に類似した運用ができるし、逆に極端に大きくすれば一発狙いのギャンブルや宝くじのような性質も持ち合わせる。金融商品として認められているFXを、ギャンブルまがいに言うつもりは毛頭ないが、投資家が個々の資金量や戦略、あるいは利用目的に合わせて、レバレッジに強弱をつけることにより、自分に最適な運用商品に仕立てることができることは、FX取引の大きな魅力のひとつである。


  金融庁が現状個人投資家に許しているレバレッジは25倍である。実際には私は法人口座を利用しているが、先に述べた私の月々100万円の収益目標を個人口座で100万通貨までで達成しようとするなら、強制ストップの執行を避けるために、余裕を持たせて500万円ぐらいの証拠金が必要と思われる。

 

 よく、ある額の証拠金に対して収益が何パーセントという言い方をする人がいるが、この考え方は証拠金取引においてはまちがいである。証拠金は投資ではない。見せ金である

 。これだけお金を持っているから、この額までの相場を張らせてくれという条件であり、その相場に勝っている限り、証拠金が侵されることはない。そして見せ金であるその証拠金は少なく済めばそれに越したことはない。

  さて、今私はFXを外貨預金でもなく、ギャンブルでもなく、毎月の生活費を稼ぐ投機として利用し、その目的のためにレバレッジの強弱を日々調節している。私に十分な資金があれば証拠金をたくさん寝かせることによって、レバレッジを気にせずに100万通貨までトレードすることができるだろうが、諸々の事情があってお金は他のことにも使いたい。

 

 今、金融庁が現状の個人投資家に対するレバレッジを25倍から10倍に規制を厳しくするという話が持ち上がっている。もしこれがされれば、いずれ法人口座にも同じような規制が及ぶだろう。

 

 投資家保護が目的だそうだが、私にとっては生活の糧となる相場への参加料の値上げを意味する。

 またこのレバレッジの規制は、前に述べたFXの持つ柔軟性の魅力を半減させ、結果的に市場参加者の減少を招き、市場の大切な流動性にも影響しかねない。繰り返すが私はFXで生計をたてている。私の手持ちの資金を圧迫し生活を脅かす、マーケット参加料であるところの証拠金に対する、理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

フリーFXトレーダー 石井千晶


筆者プロフィール

石井千晶氏
1985年ドイツ系銀行東京支店にディーラートレーニーとして入行。主にドル円、ドルマルクのスポット及びフォワードのトレードに従事。1990年、ニューヨーク銀行(現ニューヨークメロン銀行)東京支店にチーフディーラーとして就任後、トレジャリーマネジャーに昇格。支店ディーリングルーム全体の指揮をとり、2003年のマネージングディレクター就任後は、同行アジア地域のスポット取引の総責任者となる。2014年、東京のトレード部門閉鎖に伴い退職し、フリーランスのFX証拠金トレーダーに転向。現在に至る。
専門家の声

金融庁は今回の規制をすべきではない。

理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

現在、世界的に見ても厳しい規制が本当に必要なのでしょうか?

公的・民間に差をつけるのはアンフェアで投資家保護になりません。

わざわざ世界一の業界を自らの手で潰すことは得策ではない。

個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる。

同種の金融商品における明らかな差別である。

投資家を無視して進んでいることには、憤りを感じる。

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