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2017年10月20日:新レバレッジ規制案に関する私見

新レバレッジ規制案に関する私見

FXの新レバレッジ規制を検討との記事が日経電子版に掲載されたのが9月27日、そして翌28日には朝刊一面に同記事が載った。この話はFX業者さえも聞いていなかった内容で、FX業者を中心に激震が走り、個人投資家もいったい何が起きているのかとFX業者へ問い合わせることとなった。

趣旨としてはFX業者と投資家の保護ということのようだが、その後出てきた話では取引所取引は現状維持の25倍で、店頭FXのみレバレッジを10倍程度に下げるという案もあるようだ。もし事実だとしたら、規制緩和に逆行する話であると同時に、同種の金融商品における明らかな差別である。

相場変動を考慮するならば、2月に導入された法人レバレッジ規制のスタイルを取ることこそが正しい。これは証拠金計算のグローバルスタンダートも言えるSPANに似たもので通貨ペアによって毎週レバレッジが決まる。現状でドル円が50倍弱といったところだが、この方式は洗練されている。個人の場合は、法人レバレッジの半分といった水準が他の金融商品と比べても妥当な水準だと思う。

また、25倍から10倍に移行するとなった場合、必要証拠金額が増えることで一部の投資家は強制ロスカットとなってしまうかもしれない。準備期間があるとしても規制が投資家に損失を与えることもあり得るわけで、こちらのほうが余程懸念すべき事態ではないかと感じる。

そして、最も懸念すべきは国内のFXが空洞化してしまうことだ。レバレッジが下がることで、レバレッジが高い海外FX業者へと国内の投資家が流出することが考えられる。現在10倍以上のレバレッジで取引している投資家は全体の3分の1以上に上ると言われている。こうした投資家が10倍以下で甘んじるかとなると難しいと思われる。

これは、取引所取引が現状レバレッジ維持だとしても移る可能性は低そうだ。いままで店頭と比べて取引所取引が不人気だったのは、商品性に魅力を感じない投資家が多かったためで、レバレッジだけで引き留めることは困難と思える。そうだとすると、国内のFX業界は着実に空洞化への道を歩むこととなる。

今一度FX業界を取り囲む現状をよく観察した上、空洞化リスクに繋がる不用意な新規制導入は避け、規制緩和と投資家教育で日本の投資家レベルを上げることこそが当局の役目であると考える。

筆者プロフィール

山中 康司氏
1982年慶応義塾大学卒業後、バンク・オブ・アメリカ入行。1983年から為替トレーディング業務に従事し、1989年バイスプレジデント。1993年プロプライエタリー・マネージャーとして債券、デリバティブ等の取引にも携わる。 1997年日興コーディアル証券に移り、日興シティ信託銀行外為推進課長。1999年為替資金部次長として為替トレーティングとマーケティングを統括。 2002年金融コンサルティング会社アセンダントを設立、取締役。 独自の為替予測によるレポートを配信、セミナー講師、コンサルティングをつとめている。著書に『FX ボリンジャーバンド常勝のワザ』、『FXデイトレシステム投資術』、『ど素人がわかるFXチャート&経済指標の本』、『金融占星術入門』他、内外専門誌への執筆、セミナーDVD等多数。
専門家の声

金融庁は今回の規制をすべきではない。

理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

現在、世界的に見ても厳しい規制が本当に必要なのでしょうか?

公的・民間に差をつけるのはアンフェアで投資家保護になりません。

わざわざ世界一の業界を自らの手で潰すことは得策ではない。

個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる。

同種の金融商品における明らかな差別である。

投資家を無視して進んでいることには、憤りを感じる。

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