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2017年10月26日:実施されれば多額の証拠金が必要に

実施されれば多額の証拠金が必要に

ご挨拶

はじめまして。小手川征也(スノーキー)です。私がFXを始めたのは2008年でした。その頃の国内FX取引のレバレッジに規制や上限はなく、レバレッジ50倍で初めてのFX取引をしたのを覚えています。取引をしながら仕組みを覚えていき、数カ月も経たないうちに100倍、200倍のレバレッジで取引をするようになりました。【5万円・10万円などの少ない証拠金でFX取引ができたからこそ、実践的に学ぶことができた】のです。 その後、2010年に50倍、2011年に25倍に最大レバレッジが規制されたことを機に、法人を設立して、現在は法人口座で取引をしています。その法人口座のレバレッジも2017年2月には規制されてしまいましたが。

世界でも低水準・現行ルールのレバ25倍

現行ルールの日本のFXの最大レバレッジ「25倍」は、世界的に見ても「異常」とも言える低(資金効率の悪い)水準で、それをさらに「10倍」に引き下げるという案が浮上していることを初めて知った時に、とても驚きました。ただでさえ低い水準を、さらに引き下げる必要があるのか?と。 「個人投資家保護」と「FX業者保護」という二つの大義名分があるようですが、世界に目を向ければ数百倍のレバレッジで取引できる国もあり、むしろ50倍程度に引き上げてもいいと私は思っているぐらいです。そこまで日本の投資家を「過保護」にする必要はあるのでしょうか? また、「突然このタイミングで規制話が出てきたこと」にも何か裏があるのでは?と違和感を覚えています。

実施されれば多額の証拠金が必要に

もしも最大25倍から10倍にレバレッジ規制が強行された場合ですが、現時点での実効レバレッジが何倍で取引をされているかにもよりますが、今の「2.5倍」が、規制後に必要な証拠金の目安になります。100万円の資金で取引をされている方なら、250万円の資金が目安です。この場合、今預けている証拠金にプラスして、150万円のお金を用意しないといけなくなります。もしもレバレッジ規制が決定してしまい、数カ月の猶予期間が設けられたとしても、それだけの資金を用意することは簡単ではないでしょう。
猶予期間までに資金を用意することが出来ない場合には、ポジションの「強制決済」をされる可能性も。多くの投資家にとって無視できない規制議論ですが、特に【シストレやリピート系のFXをされている方】への影響はかなり大きいです。 資金量が多く必要になれば、投資家の「FX離れ」に繋がることは間違いないです。「現時点での実効レバレッジが7~8倍程度だから、私は10倍になっても平気」と思われている方もいらっしゃるようですが、最大レバレッジが引き下げられてしまうと、為替が一瞬だけでも上下に振れた際に強制ロスカットに遭いやすくなります。また、FX業界縮小・空洞化による取引環境の悪化も他人事ではありません。

投資家のFX離れで起きる悪循環

投資家のFX離れが起きて、取引高が低下すれば、大資本の傘下ではないFX業者など、体力のないところの中には事業の継続が難しくなる会社もあるでしょう。その場合、廃業や事業の売却、合併などをするしかありません。それはつまり、FX業者数の減少につながります。結果、スプレッドの拡大やキャンペーンの改悪、システム開発費(取引ツールやシストレやリピート系など)への投資資金の減少などの【サービスの低下】が起きるでしょう。私たち投資家の取引環境がどんどん悪化していくという悪循環が起こることは間違いありません。 FX業者・業界の努力の欠如でそうなってしまうのではなく、「規制」によって、そうなってしまうのです。 【レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる】ことになるのです。

未収金発生リスク

「FX業者保護」を大義に掲げる際に、お上が念頭にあるのは「未収金発生リスク」のようです。未収金発生リスクとは、「〇〇ショック」と呼ばれるような大きな為替変動がもしも発生し、私たち投資家が証拠金以上の損失を出してしまうような事態になった場合に、FX業者がそれを回収できなかった時に発生する「未収金」のリスクです。FX業者の損失に繋がるので、それを保護しようという理屈のようです。 この点に関しても私には理解できません。それぞれのFX業者がどのようなリスクをとって経営するのか?は、経営者や経営陣が決める経営判断です。それをお上が「過保護」になって「レバレッジ規制」をしてあげる必要はありません。 さらに言わせてもらえば【レバレッジを25倍から10倍に引き下げて取引高が落ちること】は前もって予想されることで、それがFX業者の保護なのでしょうか?「保護」の基準の理屈が破たんしているように感じます。 なお、日本のFX業者は信託保全が義務付けられているので、もしものFX業者の破たん時には私たち投資家の預けた証拠金は保護される仕組みとなっています。未収金発生リスクについては、FX業者間で統一されていない「ロスカットルールの一元化」と、大きな相場変動が起きて業者が破たんしてしまうほどの未収金が発生した時のために、【業界団体で資金を積み立てておく】制度などを作れば良いのではないでしょうか。

海外業者という脅威と自己責任論

「世界では数百倍のレバレッジでFX取引ができる」と書きましたが、実はそのような海外業者はインターネットから簡単に口座開設することが可能で、ハイレバレッジで取引をしたい投資家の間では人気となっています。 ただ、レバレッジ以外の面でも、【日本国内の法律が適用されない】ので、それに付け込んだトラブル(出金に関するものなど)も少なからずあると聞いています。また、海外業者は信託保全が完備していないところもあるようなので、破たん時のリスクも気になるところです。 日本国内のFXのレバレッジを規制すると、そのような海外業者を利用する投資家は、間違いなく今以上に増えるでしょう。いや、今回の規制議論が報じられて以降、もうすでに海外業者への流出は始まっているように思います。 規制(話が出て時点ですでに)をした結果、日本人投資家を「海外業者」という別のリスクにさらすことにもつながりますし、本来であれば日本のFX業者に預けられるはずだった資金(証拠金)や取引高が海外に流出することにもなります。 お上は海外業者を日本から追い出そうと努力をしていますが、ネット上で口座開設が完了し、入金方法なども仮想通貨が使えるようにと、先方も次々と対策をしてくるので「いたちごっこ」の状況が続いています。 そもそも、海外業者が日本で人気が出だしたのは、FXのレバレッジを無制限から50倍→25倍へと引き下げた頃からです。あの時に最大50倍程度の規制にしておけば、今のような状況にはならなかったのではないでしょうか。また、バイナリーオプションの規制の際も、海外業者の日本国内での台頭へとつながったことも記憶に新しい出来事です。 同じことが繰り返されるのは目に見えており、「海外業者を利用した投資家は自己責任」で片づけてしまうのは無理があるように感じます。そうならないための「投資家保護」は「海外業者を利用するしかない状況を作らないこと」が私の考えです。少額資金で取引したい個人投資家を追い詰めないでください。

最後に

今回、色々とお話をさせていただきましたが、FXのレバレッジの今以上の規制・引き下げには小手川征也は断固反対です!世界的に見ても異常に低い、レバレッジの上限の引き下げをする必要性はありません。個人投資家がしっかりとリスク管理をしていけばよいのです。私を含めた【多くの個人投資家】がSNSなどで、【反対の声】をあげています。「投資家不在」で、不透明な会合で決定・強行することは許せません。多くの投資家の声を無視し、国内FX業界の取引高の減少、そして投資家の海外業者への流出が進み、「これは失敗だった」とレバレッジの規制緩和をしても、投資家はもう帰ってきませんし、崩壊した業界を元に戻すことは出来ません。 FX業界を「保護」するために必要なことは、今よりも伸ばしていくことです。「緩和」を一切せずに、次から次へと「規制」をするだけでは業界は育ちません。日本のFX業界を世界に誇れる水準にし、海外展開をしやすくして、日本の大きな産業の一つとなるためのアイデアを出しあい、育てていくという発想はないのでしょうか。元々は株式投資をしていた私が、FXに移行してから「株式投資の方が魅力的だ」と思ったことは一度もありません。もしも今回、FXのレバレッジの引き下げが強行されても、【株式投資には戻りません】。2009年にレバレッジの上限引き下げ話が「にわかに」出てきた時に【多くの個人投資家の反対の声を無視するような形で、現行ルールの最大レバレッジ25倍に規制を強行】されたことを私は忘れていません。投資家の声を無視した規制だけは絶対に行わないでください。多くの投資家の心にも、私の声が届くように祈っています。

筆者プロフィール

小手川征也(スノーキー)氏
小手川征也(こてがわゆきや)。1973年生まれ。 大阪府出身、東京都在住のトレーダー。 2005年より株式投資、2008年よりFXを始める。 2012年に株式会社を設立し、法人口座でもFXの運用をスタート。 得意なトレードスタイルはスキャルピングで、連勝記録は46連勝。 FX専門誌・マネー誌などのメディアでも独自の理論を展開しており、FX業者が開催する大会のゲストや、FX専門誌の誌上対決のゲストとしてもおなじみ。 保有ブログの総アクセス数は月間20万PVを超える。 ツイッターフォロワーは約5万人。 著書に「毎月3万円勝ち続ける FX必勝法!! 」がある。
専門家の声

金融庁は今回の規制をすべきではない。

理不尽なレバレッジ規制は絶対にやめてもらいたい。

現在、世界的に見ても厳しい規制が本当に必要なのでしょうか?

公的・民間に差をつけるのはアンフェアで投資家保護になりません。

わざわざ世界一の業界を自らの手で潰すことは得策ではない。

個人投資への負担増は想像を絶するものとなります。

レバレッジ規制は、投資家とFX業界の両方を苦しめる。

同種の金融商品における明らかな差別である。

投資家を無視して進んでいることには、憤りを感じる。

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