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金融庁が検討しているレバレッジ10倍規制は全く合理性がない!
レバレッジ10倍規制は個人投資家保護にならない
ロスカット規制が徹底されている現状において証拠金を上回る損失が発生するのは、週末等に発生する大きな相場変動が要因であり、レバレッジとは直接関係はありません。現在FXでの投機的取引による損失が社会問題になっているということは全く無く、投資家からレバレッジを下げるよう求める声も聞いたことはありません。かえって、レバレッジを下げれば、現在の証拠金ではポジションが維持できなくなり、証拠金の増額がポジションの一部決済を迫られることになります。そのため、レバレッジ規制をかけても投資家保護にはなりません。
また、25倍から10倍へのレバレッジ規制が発効した時点で、個人投資家が証拠金の積み増しをしていなければ、多くの個人投資家のポジションにストップロスが発動され、ロスカットされることになり、相場の急変を招く可能性も十分ありえます。
かつて、日本銀行の西村清彦副総裁は、審議委員だった07年7月のワシントンでの講演にて、「日本の家計が存在感のある投資家として誕生したことが外国為替市場にも影響している」と指摘し、かつて「チューリヒの小鬼たちといわれたスイスの投機家」が為替市場を不安定化させたと批判されたのとは対照的に、プロの投資家と反対売買(逆張り)する「東京の主婦たちが市場を安定化させる役回りを果たしているのは明白だ」とおっしゃっていたように、現在の日本の個人投資家の取引高が為替市場に与える影響は大きく、レバレッジ規制によって引き起こされる強制ロスカットによる急激な円高を阻止する人がいなくなるということですから、円高のスピードが速まるリスクがあります。
レバレッジ10倍規制で個人投資家の損失拡大懸念
レバレッジ規制をすると、証拠金を増額する必要が生じ、しかも迅速な損切りをしなくなるため、個人投資家の損失がかえって大きくなる可能性が高く顧客保護にはなりません。
レバレッジ10倍規制で個人投資家が脱法海外FX会社へ流出
FXで高いレバレッジで取引をしている顧客は、レバレッジ規制がかかれば、海外のFX会社や仮想通貨取引に流れる可能性が高いと予想されます。 そのため、レバレッジの引き下げは、顧客保護にならないばかりか、法規制がかからない(あるいは法規制が脆弱な)業態へ顧客を誘引することになり、顧客保護の理念に逆行していると考えます。
レバレッジ10倍規制は他金融商品と比べても過剰規制
現在、株価連動の仕組債や商品現物取引では、10倍を大きく超える実質レバレッジがかかっている商品は数多くあります。これらの商品について規制せず、FXのみ記載するのは不公平です。 加えて、ご指摘のようなくりっく365のみ25倍にして店頭は10倍などということになれば、そのような差別的取扱を正当化する根拠はありません。 金融庁の「顧客保護(個人投資家保護)」という理由は建前に過ぎません。政府肝いりのNISAも伸びが鈍く、FXに投資するよりも株式に資金を振り分けて欲しい・・・etc.というのが実質的な理由なのではないかと思います。
ただ、金融庁やSECも10倍規制に合理性がないことはよく理解しているはずです。それでも、このような規制を行おうとする背景は、天下り優遇の可能性も十分にあります。 あるいは、財務基盤の堅固な会社のみを残してそれ以外を淘汰しようとしている可能性もあります。 また、FX口座に流入する資金を株式市場や債券市場に回すよう誘導したいというマクロ経済的思惑があるのかもしれません。 いずれにせよ、「顧客保護」とは全く無関係の意図で規制しようとしていることは間違いないと思われます。